初めての就職先は、脳神経外科だった。
当時は、就職先を選びたい放題の時代でもあった。
私は最初の3年間は、とにかくがむしゃらに働きたいと思っていた。
忙しいけれど、その分報酬も見合う環境を選んだ。
予想通り、仕事はかなりハードだった。
2日近く眠れない日もあり、今では考えられないが、
月の時間外労働が100時間を超えることも珍しくなかった。
若かったこともあり、忙しいながらも仕事は順調で、
金銭的にも満たされていたと思う。
ただ、今思えば、時間はたしかになかった。
考える余裕も、整える余裕もなく、
ただ走り続ける毎日だった。
週末になれば、ショッピングや飲みに出かけて散財する。
貯金なんて、当然考えてもいなかった。
そんな生活が1年、2年と続く中で、
気づけば借金をするようになっていた。
どこで歯車が狂ったのか。
そう思っていたけれど、今振り返ると、
歯車が狂ったというより、
生活水準だけが先に固定されてしまったのだと思う。
20歳前半で、手取り30万円を楽に超えていた。
それでも、なぜかキャッシングするようになっていた。
就職してすぐに、400万円の車のローンを組んだ。
住む家は、帰って寝るだけの1DKで家賃9万円。
衝動買い、彼女へのプレゼント、交際費。
考えてみれば、出ていく理由はいくらでもあった。
時間がないことのストレスを、
お金で清算していたのかもしれない。
でもそれは、解決ではなく、ただの先送りだった。
気がついた頃には、
借金50万円という現実が待っていた。
「このままじゃまずい」と思い始めた頃
恥ずかしい話ではあるが、
親に相談するしかなかった。
全額を立て替えてもらい、
「あなたは一人だとダメだから、
しっかり管理してくれる人が必要なんじゃない?」
そんな言葉をかけられた。
結婚のことも含め、いろいろと反省した。
このままじゃダメだ。
そう思い、生活を見直すことを決意した。
ただ、仕事は相変わらず忙しいままだった。
根本的な「お金との向き合い方」は、
まだ何も変わっていなかった。
未完成。だから進む。
また明日、進もう。

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